天国の話④Final
お久しぶりです。ゆがみちゃんです。
長かった初めてのおっパブ編も最終話になります。ここまで読んでくださっている皆様に改めて感謝申し上げ候。
さてさて、NCちゃんに手を引かれツーショットタイムへ向かうゆがみちゃん。
お金さえあれば……お金さえあればルーギャーのチャンネーとえっちなことができる。
誰が何と言おうとお金は正義で、お金さえあれば何でもできるのである。
「金は正義なんかじゃない」そう主張する人がいるのなら、そいつは偽善者か、或いは全く別のところに正義を持っている人なのだろう。
例えば見返りを求めない人助け……見返りを求めない愛情……。
しかし、人助けをするときも、誰かを愛すときも、お金がある人間の方がクオリティの高いものを提供できるのではないか……。
そういう意味ではお金はやはり……。
正義なのである。
「ここに座って?」
耳を射抜く一言。
正義などくだらぬ。強いていうなら今の正義はNCちゃんにあるのだ。
言われるがまま、椅子に座るゆがみちゃん。
その時ハグをし、キスをしようとしたものの……
「まだだめ♡」
唇を人差し指で「しー」されてしまう。
嗚呼、You are my rule……
NOMちゃんがしたようにTシャツを着るNCちゃん。
「外して…?♡」
水着の紐を外すようゆがみちゃんに囁くNCちゃん。水着の紐を外すこと。それがいまのゆがみちゃんの正義なのだ。そう言われた気がした。
「あー♡外れちゃったね♡」
「触ってみて?♡」
NCちゃんがゆがみちゃんの手をTシャツの中へ誘導する。C~Dくらいだろうか……やわらかなおっぱいに触れる。NIFREL。
これがルーギャーのチャンネーのおっぱいである。磨きあげられたプロのルーギャーのおっぱいである。
――どこかでマシュマロおっぱいという言葉を聞いたことがある。
まさに。まさにマシュマロと表現すべきおっぱいをゆがみちゃんの手のひらは貪っていた。
……おっぱいに夢中で気が付かなかったが、いつの間にやらNCちゃんの顔が僕の顔の横にある。
それに気づいた刹那
「ふーーっ」
柔らかな桃色の吐息が僕の耳に絡みつく。思わず体をビクつかせるゆがみちゃん。こんな攻撃は予想していなかった……。
「…ゆがみちゃんMやろ♡」
耳元で自分がマゾであることを自覚させられる。思いがけず性癖に刺さる。
ツーショットタイム、基本的にはおっぱいを揉むための時間と思っていた……。
けれどもそれは完全なる誤解であった。
そもそもツーショットタイムは「女の子と二人でいる時間」を僕らが買っているに過ぎない。もっと言えばおっぱいを揉むことすら確約されたものではない。
その買った数分間で僅かでも甘い蜜をすすろうとするのが僕ら。あくまで時間の支配者は彼女たちである。
つまるところ、ツーショットタイムの内容は「あくまで金銭の発生するビジネス的関係の中で、その人に何をしてあげたいか」で決まるのではないか。
――となるとこの子は……。
耳元で、あまりに近くで声が聞こえた。瞬間、耳が固い感触で挟まれる。
ゆがみちゃんは思わずビクつき、ふっと息を漏らしてしまう。
咀嚼、咀嚼、咀嚼、、、
ゆがみちゃんはこの時NCちゃんの手がズボンにインしたワイシャツに伸びていることに気が付かなかった。
咀嚼、咀嚼、、
気づいた時にはゆがみちゃんのワイシャツはだらしなく引きずり出されており、NCちゃんの手の侵入を許していた。
咀嚼。
NCちゃんはゆがみちゃんの耳を噛みながら乳首を弄り始める。
そちらに意識が向く。
なんだこれは……!?一瞬この空間を秘密倶楽部と錯覚する。ここまでのことが……!?
驚きながらも身体は正直に反応することを止めない。NCちゃんの指が乳首を掠める度に情けなくビクビクと震えている。
「めっちゃ敏感だね♡」
NCちゃんが楽しそうに囁き、笑いかける。
そのとき彼女の口の中に何かあるのが見えた。ゆがみちゃんはそれを見て訊ねる。
「あれ、NCちゃん舌ピあけてるの?」
「あけてるよー♡」
べーっと舌を出す。大きめの玉がNCちゃんの舌の上に乗っかっているのがよく見えた。
さながら真珠のようである。あまりに美しい。
「ピアスとか見るのめっちゃ好きなんよー」
素で趣味が出るゆがみちゃん。
NCちゃんは「よかったー」微笑む。
微笑んで……
そのままするすると下りていき、ゆがみちゃんが座ったままNCちゃんに
されるような体勢になる。
そしてもう1度こちらに目を合わせ、ゆがみちゃんの手をとる。
NCちゃんはあろうことかそのままゆがみちゃんの親指を咥えこんだのである。
そして空いた手でゆがみちゃんのゆがみちゃんをさすり始める。
――ゆがみちゃんの脳がメモリ不足を訴えている。
さながらWindows95である。発売当初のマッキントッシュでもいい。この事態に対応するには甚だしい処理能力不足である。
フェラーリを想起させるこの行為はゆがみちゃんを完全に堕天させた。
そんな様子にも構わず上目遣いでゆがみちゃんの親指をしゃぶり続けるNCちゃん。舌のピアスがゴツゴツと親指にあたる。
……こんなん射精せんでも射精してるようなもんや
そう思いました。
そうこうしてNCちゃんが「終わっちゃったあ」とツーショットの終わりを告げ、キスをし、ゆがみちゃんからすっと離れる。
ゆがみちゃんはまだ処理が追いつかず椅子にフリーズしたまま。
呆然としたままNCちゃんに手を引かれ席に戻る。
戻ってきた僕を見てYさんが言う。
「えらい長かったやんけ!そないよかったんか?」
呆然としたままゆがみちゃんは答える。
「天国ですね」
この発言に照らすならNCちゃんは天使である。今思い返してもまあ間違いではない。
NCちゃんが言う。「楽しかったねー♡」
ゆがみちゃんは「ほんまなー!最高やったわー」とようやく落ち着いてきた脳ミソを回し答える。
そこでもう1度バグをし、キスをしようとするゆがみちゃん。
しかし、NCちゃんは唇に手を当て「しー」の形にし、人差し指越しのキスしか認めなかった。
残念そうにするゆがみちゃんを見てNCちゃんが耳元で言う。
「また遊ぼ♡」
そして「ふーっ」と耳に息を吹きかける。
ビクっとした瞬間NCちゃんが唇を重ねてきた。
ゆがみちゃんが驚いているうちにNCちゃんは「約束だよー?」
と言いながら去っていってしまった。
これが男を殺すプロか。
あまりに小悪魔が過ぎる。
これで堕ちない男がいようか。
いるならそいつは間違いなく感情というものがない。
それからもショーを楽しみ、いろんな女の子と「挨拶」を交わしたが、NCちゃんが脳に焼き付いて離れなかった。
気づけば他の男に「挨拶」しに行く彼女を目で追っていた。もちろん僕とNCちゃんはビジネスの関係。嫉妬こそ抱かなかったが、それでも少し寂しくは思った。
じきにYさんが「おし、そろそろ行こうか」
と声をかけ、僕らは天国に背を向け、現実へのエレベーターに乗り込んだ。
こうして、ゆがみちゃんのおっパブデビューは終わった。NCちゃんにすべて持っていかれて幕を下ろした。
あそこは非日常の極み。酒池肉林をひと空間に押し込めたような場所であった。
――純粋にまた行きたい。
この願いは
Yさんのはからいによって
すぐ叶うことになる。
天国の話 終