ゆがんだエンターテインメント

「ルーギャーのチャンネー」を理念に皆様にステキな笑顔を。ゆがみエンターテインメントCEOのブログです。

天国の話 第2篇〜今宵の風は艶やかで〜

 

お久しぶりです。生駒ゆがみです。

いつもたくさんの反応ありがとうございます。

今回の記事も酒の肴にでも読んでいただけると幸いです。

 

 

 

アナウンスがフルーツタイムの始まりを告げた。

 

――フルーツタイム。それは一言で説明するなら、女の子から口移しでフルーツを食べさせて頂ける素晴らしいタイムである。

客の立場からすればもちろんフルーツは建前で唇同士の触れ合いが本音である。そのことを誰も口にしはしないが……。

 

女の子がカクテルグラスに盛られたフルーツを持って店内を闊歩し始める。

ゆがみちゃんのもとへ初めに来たのはM先輩のお気に入り、Uちゃんだった。

 

「ねーねー、おにーさん♡あたしとフルーツどう??」

 

ゆるーい話し方でフルーツを誘ってくる。Yさんから数枚のチケットを譲り受け、ゆがみちゃんはフルーツを承諾した。

 

「お膝失礼しまーーす」

 

Uちゃんがゆがみちゃんの膝の上に座る。

なれた手つきでUちゃんはフルーツを咥える。そして唇を重ねる。

……ゆがみちゃんは知っている。フルーツを少しずつ味わえば長くこの時が続くことを。その為にどのように舌を、歯を動かせばいいのかを。

 

しかし

 

Uちゃんは舌で思い切りフルーツを押し込んできたのだ。ゆがみちゃんは思わずフルーツを飲み込んでしまう。

Uちゃんは唇を離し、「えへへー♡」と笑いかけてくる。ゆがみちゃんは「いまのはずるいわー!」とゴネる。

そして「もっかいしよやあ」と言うと人差し指越しのキスをされ、「おしまい♡」と終わりを告げられてしまう。

 

……完敗である。

 

恐るべきかなこの天国。Uちゃんは1回の来店でコツを知ったと調子に乗る生駒ゆがみに「ナメてんじゃねえぞ」と警告しにやってきたのかもしれない。

 

面食らったゆがみちゃんを背に、M先輩の方へ向かうUちゃん。

M先輩は一言。「ゆがみちゃん、いくぞ。見とけよ見とけよ」

 

……見たことのない顔をしてM先輩がUちゃんとキスしている。目を閉じて、唇、奪われるまま、感じるまま。喩えるなら2日間おしっこを我慢してようやくトイレに行けたような。そんな快感を味わう顔である。プレアヘ顔である。

 

めちゃくちゃ気持ちよさそうにキスするやんけと二人を眺めながらジントニックを啜る。

心做しか先ほどより苦味が効いている気がした。

ふいに、後ろから肩を叩かれた。

 

振り向くとそこにはNCちゃんが立っていた。

 

後光が差しているとはこのようなときに使う表現なのだろう。店内の、眩いピンクのネオンが彼女にむけて焚かれているようだった。

 

「ゆがみちゃん♡お待たせ〜♡」

 

そう言って微笑む彼女は聖母のようであった。

聖母が両手を広げる。

 

おぎゃあ……!

 

              圧倒的おぎゃあ……!!

 

おぎゃあでありバブゥである。彼女が手に持っているフルーツは他の誰が持っているそれより瑞々しく、艶やかに甘そうに見えた。

 

「NCちゃん〜!めっちゃ待ってた〜!!」

 

熱烈なハグをする。こんなんもう彼女である。

顔を見合わせ、NCちゃんが一言。

 

「フルーツどうですか♡」

 

エスとイエス。その二択を迫られる。

ゆがみちゃんの頭の辞書にノーという文字はなかった。あったとしてもNCちゃんがそのページを破り捨ててしまっていた。

 

「いただきます♡」

 

「お膝失礼しますね♡」

 

――1ヶ月越しのキス。

フルーツが少しずつ押し込まれていく。

少しずつ咀嚼しながら唇を堪能する。

フルーツがまた少しずつ押し込まれ……

 

押し込まれ……

 

……てこない

 

むしろNCちゃんの方へ戻っていく。

何が起こっているのだろう。全て落ちかけた砂時計がひっくり返されてしまった。

驚いた顔でNCちゃんを見やると「えへへ♡」と笑いかけられる。

これ絶対ゆがみちゃんのこと好きやんけ…!

少なくともゆがみちゃんとキスするの好きやんけ……!!

そんな確信を勝手に得たゆがみちゃんの脳ミソが新たな欲求を描く。

 

――NCちゃんが噛み砕いたフルーツが欲しい。

 

そう思った時には声に出ていたらしい。NCちゃんは「んー♡」とだけ返事をし、フルーツを咀嚼しはじめた。

そしてNCちゃんの舌からゆがみちゃんの口へドロドロになった果肉が運ばれる。彼女の唾液と混じりあった果汁が甘美に脳を焼く。

 

 

 

しばらくして唇を離す。

NCちゃんは問いかける「美味しかった?♡」

ゆがみちゃんは焼かれた脳ミソから振り絞って答える「めちゃくちゃ美味しかった……」

「よかった♡ありがとうねー♡」

 

もう一度キスをし、ハグをする。

 

ゆがみちゃんはNCちゃんに話しかけた。

 

「もう1個フルーツちょーだい?」

 

NCちゃんの目を見て、チケットを手渡した。

NCちゃんは驚いた顔をして「えっ、いいの……?」と一言。

 

「うん!もう1回!」

 

「嬉しい♡ありがと♡」

 

 

 

 

それからは、もうめちゃくちゃにNCちゃんの唇と舌を舐めあい、果汁を塗りあい、二回も男汁を出した(気持ち)。もう一度やりたいぜ。

 

NCちゃんとバイバイし、とろとろになったゆがみちゃんを見てM先輩が話しかける。

 

「ゆがみちゃんあの子のこと好きすぎやろwwwそんなに何がいいの?www」

 

「ウェ、ぜんぶ……好き……」

 

「ベタ惚れかよwwww」

 

「もはや彼女ですわ……」

 

「きっしょwwwキスの仕方えげつなかったもんなwww」

 

「ウッソ、愛が溢れてました??」

 

そんな会話をしているとYさんが

「おう、楽しんでるか??チケットもうないんちゃうか??」

とゆがみちゃんとM先輩に3枚ずつチケットを……。どんな仕事を振られても残業が何時間あっても、Yさんからの頼みならもう断れません。ゆがみちゃんはYさんに借りをつくりすぎている。

 

M先輩と声を揃えて「Yさんほんま最高すわ……」とお礼を言い、戦略会議を開きます。

M先輩はUちゃんと、ゆがみちゃんはNCちゃんとツーショットタイムに行こうという結論が出ました。

 

「飲み物おかわりどうですか?」

 

と話しかけてきた女の子におかわりを注文し、NCちゃんとUちゃんを呼んでもらうことに。

 

しばらくしてNCちゃんがやって来る。

「呼びましたー??♡」

 

 

明日大阪に強烈な台風がやってくるらしい。

この話はそんな日にあった出来事の話である。

かの台風の前日の出来事である。

 

今宵の風は強く吹きそうだ。